KAJIYA BLOG

人文系大学教員の読書・民藝・エッセイブログ

社会学

日常を持ち出すーポータブルな日常について

学生の卒業研究指導をしていると、様々な思わぬヒントが得られる。 学生本人よりも教師の方が得ることの多い指導回もあるかもしれない。それはもちろん本意ではないんだけど。 先日、外国人訪日観光客は日本の何に惹かれて来るのか、ということをテーマに学…

余市とフットパスのことなど

4月9日(土)は余市町におじゃましてきました。 今、余市町の方とともに、フットパスコースの検討をしようという計画が持ち上がっています。その事前打ち合わせと下見を兼ねての訪町です。 * フットパスとは「歩くことを楽しむための道」のことです。日本国…

民藝と家庭料理:土井善晴という思想家について

ーー家庭料理は民藝である。 料理研究家の土井善晴氏(以下敬称略)の言葉である。 そして、土井の近著で今話題となっているのが、『一汁一菜でよいという提案』(新潮文庫、2021年)。ただこの本はいわゆる“料理本”ではない。まぎれもない思想の書だ。 一汁…

人文社会学はスローシンキングで

社会学者・森真一氏の『スローシンキング 「よくわかっていない私」からの出発』という本を読んで改めて考えた。 本書で森氏はご自身の授業準備のプロセスを紹介しながら、社会学とはゆっくり考える学問だと主張する。スローフードになぞらえ「スロー社会学…

『プロ倫』から神秘主義を経て民藝論にいたる

その後も学生たちと『プロ倫』を読み続けている。ちょうど第二章に入ったところで、いよいよ禁欲的プロテスタンティズムの分析に入るところだ。 この本を読みながらつくづく思うのは、欧米の学問にはキリスト教の知識が必要不可欠ということ。宗教改革とカト…

禁欲についてープロ倫からミニマリズムへ

昨年の末頃から、教え子たちと語らって読書会を始めた。強要したわけではなく、どちらからともなく始めてみようかという話になってのこと。私も大学生の頃、いろいろな読書会、勉強会に参加していたが、今もこういう学生がいるんだな、と懐かしい気持ちにな…