KAJIYA BLOG

人文系大学教員の読書・民藝・エッセイブログ

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

民藝と家庭料理:土井善晴という思想家について

ーー家庭料理は民藝である。 料理研究家の土井善晴氏(以下敬称略)の言葉である。 そして、土井の近著で今話題となっているのが、『一汁一菜でよいという提案』(新潮文庫、2021年)。ただこの本はいわゆる“料理本”ではない。まぎれもない思想の書だ。 一汁…

哲学の有用性の切実さについて(読後感想)

この週末、新刊新書2冊を読んだ。 1冊目は高桑和巳『哲学で抵抗する』集英社新書 2冊目は川瀬和也『ヘーゲル哲学に学ぶ考え抜く力』光文社新書 いずれも気鋭の研究者による哲学に関する考察である。 高桑氏によるものは、カントやヘーゲルなどのいわゆる哲学…

人文社会学はスローシンキングで

社会学者・森真一氏の『スローシンキング 「よくわかっていない私」からの出発』という本を読んで改めて考えた。 本書で森氏はご自身の授業準備のプロセスを紹介しながら、社会学とはゆっくり考える学問だと主張する。スローフードになぞらえ「スロー社会学…