KAJIYA BLOG

人文系大学教員の読書・民藝・エッセイブログ

【読書会入門】読書に集中する

課題本を読み進めようとしてもなかなか集中できない…
少し読み進むとわからない言葉が出てきてスマホで調べ、そのまま他のサイトを見たり、アプリをいじってしまったり…
読んではいるけど、いろいろ他に気になることがあって、字面を追っているだけで気づくと内容が頭に入っていなかったり…


こういう経験は誰でも多かれ少なかれあると思う。

でも、読書をするからには、本の世界に夢中になって周りが見えなくなるような“フロー状態”になりたいもの。

スポーツの世界では「ゾーンに入る」とも言われ、この極限的な集中状態では、通常以上の力を発揮できる。一流選手はその状態に意図的に入ることができる。

自分が普段から読んでいる好きな作家作家や、面白いと評判の話題本であればいつでもどこでも夢中になって読めるだろうけれども、読書会の課題本は、それとは逆に自分に馴染みがなく、また一人ではなかなか読み通せそうもない本であることが多い故に、フローに入るための努力や工夫が必要となってくる。

読書会に参加するための一つのハードルだ。

 

私もそういつも集中して読書できているわけでもないけれども、”ここは集中して本を読もう”と思う時に使う簡単なテクニックがある。

簡単なことで、ポイントは2つ。

 

  読書環境を整える

 ② 読む時間、または読む範囲を限定する

 

まず机に向かう。
机の上からすべてのものを視界に入らないところに移動し、極力まっさらに。
音楽は止めて、ネットともつながらない。スマホもいじらないように遠くに置く。
読書中に読むドリンク(コーヒーでも紅茶でも)を用意する。

ここまでが①の段階。

机にまっさらにするのは、映画館で映画を観るのに似ている。映画館で映画に集中できないという人はなかなかいない。それは映画を見る以外何もできない状況に強制的に置かれてしまっているから。スクリーン以外は真っ暗で、スマホを操作することもゆるされない。そういう環境になると人は集中する。

寝転がって読むこともあるが、それはやはり趣味の本の場合であって、読書会用にある程度しっかり読み込もうと思えば、机に向かうのがベストである。

ドリンクを用意するのは、ふと「あ、コーヒー飲みたいな」とか「コーヒー用意していなかったな」ということを言い訳に読書を中断してしまうから。

完全に今から読書に没頭するという体制づくりをしっかりやることが重要だ。

 

次に、②の読む時間か範囲を決める。

時間や範囲を決めないというのは実はとても辛いことだ。
例えば部活動でランニングをせよと顧問の先生から指示されたとして、グラインド何周か示されずに走ることは本当に辛い。逆にグランド5周して終了!と言ってもらえると、その5週はなんとか走りきれるものだろう。
読書も同じで、先が見えるとそこまでは集中して読み通せる、というところがある。

私の場合は時間を決めることが多い。

ポモドーロ・テクニック(以後PTと省略しておきます)をご存知だろうか。イタリアのフランチェスコ・シリロという方が考案した時間管理術である。

 

簡単に要約すると、タイマーを25分にセットして、その時間はタスク(作業)に集中する。5分休憩して、同じことを繰り返す、というもの。

25分であれば集中できるだろう。(これが難しければ15分からでも初めて少しづつ延ばしていくと良い)PT中は他の仕事のことは忘れる、メールも見ない、スマホもいじらない、と決めて取り組む。1セット30分に集中できれば、そのあとはリズム良く進む。25分のアラームがなると、もう少し読みたかった、と感じ、次のセットも始められる。やろうと思えば仕事が忙しい日でも数セットやれてしまうものだ。ぜひやってみてほしい。

 

読む範囲を決めるというのも有効だ。

私の場合はだいたい1分で1ページ程度読み進める。(これはページの組み方にもよるし、文章の難易度にもよるが)

一度ストップウォッチで自分の読書スピードを計ってみることをおすすめする。自分の読書スピードはぜひ把握しておくと良い。

先のPTでは25分間の集中時間だったが、そうすると25ページほど読みすすめることができることになる。

PTをやってみると自分が一日でどれくらいの読書時間を確保できるか、あるいはどれくらいの集中力を読書に割けるかということがわかる。

自分の読書スピードがわかっていると、決めた範囲を読み終えるのに必要な時間が見えてくるので、これもある意味では読む時間を決めているのと同じとも言えるだろう。

時間で区切ると、読んでいる途中で打ち切られてしまうが、範囲で区切るとキリの良いところで終了できる。
私は時間で区切ることが多いのだが、それは途中で打ち切られてしまうと、その次を読み進めたくて、自然とつぎのPTにつながっていく、という効果も考えてのこと。範囲で区切ると、ちょうどキリが良いので、そのままその日はそこで終了ということになりがちなので。自分の性分に合わせてどちらを選んでも良いが、その間だけはとにかく集中すると決めて読むと読書が捗る。

ちなみに、量や時間をこなすことに熱中して、内容の理解がおろそかになっては意味がない。あくまでも内容を理解できるスピードで、自分の集中力の続く時間を考えて読みすすめることが重要だ。

 

ただこのような方法だといかにもルーチーン的、作業的な読書のような感じがするかもしれない。
確かにその通りで、最終目的は何時間集中して作業するかではなく、フローの状態で夢中で本を読み進めらるかどうか。
どんな本でもフロー状態になれる人は良いが、なかなか全ての本でそうはいかないのが現実。その場合は、上の方法でなんとか集中して読み進めていると、そのうちフロー状態になる。そうなったら、もうタイマーを止めて、そのまま集中力が続く限り読み進めるとよい。